SIGGRAPH Asia 2009 #sa09
アメリカコンピュータ学会の分科会「ACM SIGGRAPH」が主催するコンピューター・グラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議・展示会「SIGGRAPH Asia 2009」に行ってきました。展示会のみの参加でしたが、個人的に気になったのは:"Photorealistic"/"Motion Capture System"/"Communication Robot"の3点。
Photorealistic Design with 4K Resolution
ビジュアル・コンピューティングテクノロジーを研究しているアメリカの NVIDIA のブースに訪れてみました。目にしたのは、ビジュアル・コンピューティングの究極形。外付けタイプのビジュアル・コンピューティングシステムである「NVIDIA Quadro PLEX」のデモが披露されていましたが、複数画面(4つ=4K)でのフルスクリーン表示/動画表示のサポートしているため、迫力満点でした。NVIDIA Quadro PLEX の特徴は以下の通りです。
- 高品質なグラフィックス
- シンプルなワークフロー
- 高い描画性能
EIZO などのハイクオリティ・ディスプレイとの連携により、動画の残像感を大幅に低減するとともに、動きの早いシーンにおける白とびや黒つぶれを押さえ、明るくくっきりとした立体感豊かな動画映像を再現していました。テクノロジーの飛躍的な成果によって、コンピューター・グラフィックスと実物のビジュアルとの溝が埋まってきている様子が伺えます。
Optical Motion Capture System
モデルの身体にセンサーを装着せずに動きをリアルタイムで3Dコンピューター・グラフィックスに適応できるマーカーレスモーションキャプチャシステムのデモが目立っていました。既に米大手企業のアミューズメント施設やゲームグラフィックの制作などで採用されているようです。同イベントに出展していた PIXAR や Lucas Film をはじめとするアニメーション/3Dグラフィック映画で本格的に採用されれば、表現面において仮想現実世界がより現実性を増していくのではないでしょうか。海外のみではなく、国内での展開にも注目したいところです。
Communication Robot
日本は今、少子高齢化により超高齢社会に突入していると叫ばれています。将来は人口ピラミッドが逆三角形となり、高齢者の生活を支えるのに余分な就労人口が確保できない恐れがあるとの意見も専門家から聞くようになりました。今回訪れたブースでは高齢者の日常活動(ADL:Activities of Daily Living)に注目し、これを支援することを目的とするコミュニケーション・ヒューマノイドロボットの多くが展示されていました。
DIGITAL CONTENT EXPO 2009 でも登場したサイバネティックヒューマン"HRP-4C"、世界初の人型二足歩行ロボット"nuvo"、NEC の "PaPeRo"の登場です。
全てのコミュニケーション・ロボットに精通していたのは:
- 人とのやりとりをする
- 自分で判断して動作する
- 遊びを楽しめる
の3点。自宅、会社、店舗、公共施設など様々な利用シーンでの活躍方法を検証されているとのことなので、期待です。
デジタルコンテンツやコンピューター・グラフィックスに特化した国際的なイベントに参加するのは今回が初めてでした。上記のような技術が再現されている海外事例にお目にかかる機会は決して多くないと思いますので、見通す先の可能性を広げるためにも引き続き注目していきたいと思います。