映画を観賞する際に、映画館に足を運ぶことで得られる付加価値をまずは模索するようにしています。先日公開されたばかりの映画「AVATAR(アバター)」の場合は、TOHO シネマズ六本木ヒルズにて"3DCG"形式で上映されていたので観に行くことにしました。
"3DCG"は、仮想3次元空間上の形状情報から、それらを平面上に投射することでコンピューターグラフィックスを生成する、これらの一連の技術のことを指します。SIGGRAPH Asia 2009 のエントりーでもご紹介したフォトリアリスティックな画像を製作する目的で利用されることが多く、「AVATAR」もこの"3DCG"によって製作されました。
映画のタイトルにもなっているアバターとは、自分の分身となるキャラクター、あるいは存在のことを指しており、昨今では SNS などで広く使われているため、一度は耳にしたことがある人も多いと思います。本作でもドライバーとなる人間の意識と連結させるアバターが存在し、現実の世界で実際に生活することができるようになっています。
本作の舞台となっている惑星パンドラの先住民ナヴィとの接触は、AVATAR で行なわれています。そして、3D眼鏡をつけることによって、観客は1人の AVARTAR として主人公のように映画の中の世界と同調しているかのような錯覚に陥ります。正に、キャメロンマジックです。
構想に14年もの歳月が費やされた本作には、AVATAR 以外にも重要なキーワードが幾つか散りばめられています。惑星パンドラに生息する生命体が、互いの通信手段として用いている電子回路を活用したネットワークもその1つです。ウェブを司る WWW の概念と、当初は存在もしなかったであろうアバターが、本作が誕生した14年前の構想に含まれていたのであれば、驚きを隠せません。