『Lean UX』の著者である Jeff Gothelf(ジェフ・ゴーセルフ)氏が日本に初来日し、1日 Lean UX ワークショップが開催されました。
Lean UX を主題としたワークショップと言えば今年の2月にも Lean UX の第一人者である Janice Fraser氏による Lean Startup マスターワークショップが同じくデジタルガレージにて開催されました。
比較的規模の大きい会社で UX のディレクターとして活躍された Jeff氏と、スタートアップ界隈で UX デザインを基軸とした多くのコンサルティング経験を積んでこられた Janice氏。有利/不利ではなく、それぞれの経験と工夫が深みとなり、ワークショップに現れています。
Lean UX の理論構築
チームの共通理解を促すために前提を洗い出し、不確実性をなくすためにユーザーを
中心とした実験の設計は両者で共通していましたが、ジェフ氏の場合は人員が多い会社(環境)を想定していたのか、1チームを8名から10名で構成し、ディスカッションを円滑に進めるたに本書にも記載の仮説ステートメントや実験フレームワークなど、体系立てられたフォーマットに従って進めていきました。
- 仮想サービスの設定
- 推測による簡易ペルソナの作成
- アフィニティ・マップの作成
(作成したペルソナがサービスによって得られる成果または効果の洗い出し) - テーマごとにカードソートを実施
- 実現するための機能定義
- 継続利用を促すための指標の設定
- 仮説ステートメントの作成
- 実験方法の設計
- MVPの作成と発表
((c) Goodpatch Inc.)
サービスの利用に際して継続性はあるか?ユーザーに好まれるか?収益は担保できるか?といったポイントを抑えながら、ビジネス観点から機能面における最適解を導き出すことが重要です。そして仮説ステートメントの作成には以下のようなフォーマットに従い定義していきます。
We believe [This feature(機能)] for [this persona(ペルソナ)] will achieve [these outcomes(得られる効果)] by measuring [metrics/KPI(主要な指標/KPI)]
定量/定性の両側面から散在される各種情報を上記のような方程式にまとめることで、サービス/プロダクト開発における時間の経過と共に忘れ去られていくことを防ぐと共に、ネクストアクションである実際の実験及びその後の効果測定に繋げやすくなります。
Lean UX は徹底した仮説思考故に Jeff氏が提唱するような理論構築を基盤とします。ダイナミックな印象を持たれている方もいらっしゃると思いますが、実はとても科学的であることがお分かりいただけるかと思います。
((c) Goodpatch Inc.)
一方で Janice氏はスモール、かつバランスチームを維持しながらアイディエーションを始めとするユーザーやチームからの学びによって得られるチームビルディングを大切にしていました。
答えはユーザーのみが知っている。
ユーザーインタビューの進め方から学んだことをアイディアに反映する際のティップスを始めとする実践的な内容を、Janice氏自身の体験を基に様々な状況にも応用が可能な豊富なティップスをご紹介いただきました。
前述しましたがワークショップという形式上、アプローチが両者間で多少異なるも有利/不利はなく、サービスのステージやチームのメンバー構成など様々な状況を考慮し、それこそ実験的に進めていく必要があります。そのための引き出しとして Jeff氏や Janice氏の理論と実践から学べることが多くありました。
Lean UX Circle の発足
Lean UX 界を牽引するお二人が来日し、1日ワークショップを同時期に開催することは非常に貴重です。今回ご紹介したワークショップの内容や各企業で行われている取り組みを更に広め、組織内に留まらず、組織間の共創を目的とした実践的 Lean UX コミュニティ「Lean UX Circle」を5月23日(金)に発足させます。決して一時的な事象として終わらせるのではなく、継続的に活動を続けることによって日本経済におけるものづくり文化の更なる発展を目標に取り組んでいきたいと思います。
Lean UX を本気で組織や社会に浸透/普及させたいという想いに共感してくださる方がいらっしゃれば、ぜひ初回の説明会にご参加ください。
お待ちしています。
公式 Twitter アカウント:@LeanUXCircle
公式 Twitter ハッシュタグ:#LeanUXja