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UXploration

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Lean Startup マスターワークショップ

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このブログでも何度かご紹介している LUXr の Janiceさんが再び来日され、Digital Garage にて「1日 Lean Startup マスターワークショップ」を開催しました。2年前に同じく Digital Garage で開催した「実践的 User Experience ワークショップ」よりもより「前提条件の特定と仮説の設定方法」及び「Get out of the building を通じた実験」に重きを置いた、素晴らしいワークショップでした。僕もゲストとしてお招きいただき、彼女のワークショップのお手伝いをさせていただきました。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

圧巻だったのは、ワークショップの進め方です。15年以上に渡る彼女のキャリアと、アメリカはシリコンバレーで培った様々な手法を織り交ぜることで Lean Startup の根底にあるマインドセットを体得できるようなプログラム構成となっていました。

簡単に捨てられるほどアイディアを出すことに余裕ができる

朝早かったこともあり、先ずは準備体操として3人1組のチーム*1に別れ、今晩に食べたい夕食のアイディアを10個洗い出していただきました。ハンバーグ、スパゲッティ、お好み焼き…などなどバラエティ豊かなメニューが並び、書き終えたら10個のアイディアを「残したい」アイディアと「妥協してもよい」アイディアの2つのセットに別け、後者を隣人に渡してもらいます。

そして、そのアイディアを破ってもらいます。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

Janice さんは問いかけます。

なぜ、破る必要があったのでしょうか?答えは簡単です。妥協してもよいアイディアは、捨てるべきなのです。

ポストイットにアイディアを記載することがポイントでもあるのですが、気軽に動かしたり、破ることができるからこそ、自由度の高いアイディアは生まれていきます。ただ、いざ捨てるとなると、ヒトはどうしても「もったいない」や「もしかしたらあとで必要になるかもしれない」といった保守的な言動に駆られてしまいます。では隣人に破ってもらえれば良い。

Janice さんは、無駄となるアイディアを捨て、前に進む勇気をワークショップを通じて体験させてくれました。

顧客からの学び以上にチームからの学びに価値がある

お昼休みを挟み、午後に向けて参加者には Janice さんからお題が出されます。自身が考えた仮想サービスの概要を共有し、既に何百万もの出資を受けているアイディアであることを条件に、各チームにはその会社の CEO であることを認識させ、その会社ないしはサービスが破綻してしまう可能性がある「最も危険な前提条件」を洗い出していただきました。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

  • そもそも◯◯を必要とするユーザーがいない。
  • ◯◯の金額設定にユーザーは投資してくれない。

例として挙げたこれらの前提条件を検証するために、各チームは文字通り Get out of the building します。これは、Lean Startup Machine Tokyo でも行われる全く同じアプローチです。そもそも前提となっているターゲットユーザーもチームによって異なるため、インタビュー内容が異なればその後にピボットするアイディアの方向性もバラバラです。

そのため、顧客から学んだことはチームごとに異なります。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

ここで Janice さんは「Fish Bowl」という手法を取り入れ、各チームが顧客から学んだことを参加者全員に発表してもらうようにしました。「Fish Bowl」とは大人数を対象としたディスカッションの場でよく用いられるアメリカ発祥のワークショップ形式で、先ずはボランティアで任意のチームから1名づつ、計3名に前に来てもらい、学んだことを共有し、議論してもらいます。Fish Bowl、つまりは金魚鉢を眺めるかのように3名のダイアログを聞いて関連する学びを共有したい、または質問がしたいと思ったヒトは、前に来てもらい誰か1名と入れ替えで席に座りダイアログを続けてもらいます。

結果として顧客からの学びはチームの壁を乗り越え、同じサービスを検討しているワークショップの参加者全員に行き渡り、チームの構成人数以上の学びを得ることができました。

実験の方法論は2時間/2日/2ヶ月内におさめる

1回目の実験を終え、顧客から、そしてメンバーからの学びを参考に2回目の実験を次に設計していきます。ここで Janice さんから条件が与えられます。これから設計する2回目の実験は、期間を2時間/2日/2ヶ月内に設定し、それぞれの期間に見合った実験を設計するように言われます。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

なぜでしょうか。

Lean Startup は不確実性が高い状況下で新規のサービスないしはプロダクトを構築するためのアプローチです。不確実性が高い状況下でも適切な実験が行えるよう、様々なパターンを想定することが大切です。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

また、複数の軸を設定することで相対的に比較することができ、目的や手段、内容に奥行きが生まれ、実験のためのアイディアが生まれやすくなります。2時間しか時間が与えられていないのであれば、初回同様に顧客インタビューを実施することが可能です。2日であれば MVP を定め、プロトタイプを作成し、より正確なフィードバックを対象の顧客から得ることができます。2ヶ月もあればβ版としてクローズドでサービスを開始することも視野に入れられるかもしれません。

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(This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial 3.0 Unported License)

上記内容を網羅したワークショップの開催は、Janice さんにとってまだ2回目だったようです。正に、このワークショップそのものが彼女自身の実験だったのかもしれません。このワークショップで得られた学びこそ、「学びのエンジン」として組織に根付かせていく必要があると思いました。

関連エントリー:

*1:Janice さんは3人1組で構成される、Balanced Team を推奨されています。人数が4人以上になるとメンバー間のコミュニケーション回数が倍増してしまうからです。3名でそれぞれ握手をすれば3回で済みますが、4名に増えればその回数は2倍の6回となります。

This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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