直木賞受賞作品「まほろ駅前多田便利軒」。三浦しをんさんの作品は初体験です。何でも屋だけに起こる事件も多岐に渡り、痛快娯楽作品でありながらも主人公の2人が醸し出す脱力感と無力感がいい味を出しています。
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) | |
三浦 しをん 文藝春秋 2009-01-09 売り上げランキング : 18639 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
実在しないまほろ市の細かい設定にも気を配っていて、妙なリアリティーを感じながらも時の流れがカントリーのように穏やかで読んでいてとても心地が良いです。
「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ。」 - pp105
「自分と同じ苦しみを体験したひとがいる。それを知ることは、救いにならないかな。」 - pp293
それでいて後半に推移するにつれて深見が増し、軽妙な文体から繰り出される絶妙なリズム感が快適です。本作は4月23日に実写化されるようで、瑛太と松田龍平のキャスティングは正にイメージ通りといった感じです。