Good Design Expo 2009
http://www.g-mark.org/expo/2009/
選挙当日、24時間チャリティーイベントを横目に、同会場で開催されていた「Good Design Expo 2009」に行って来ました。
ついつい立ち止まって見てしまうのは、ユニバーサル・デザインやエモーショナル・デザイン関連のプロダクトばかり。学生時代に研究していた分野でもあるのですが、デザインが担うべき社会的役割を実践している本質的な概念だと僕は思っています。
イワタUDフォント
http://www.iwatafont.co.jp/MO_UD/UD_outline.html
UD フォントに必要とされる要素を以下の4つに分類し、それぞれの観点からイワタ UD フォントが開発されたようです。
- 視認性 … 文字ひとつひとつの構成要素を視認しやすくする
- 判読性 … 誤読しにくく、他の文字との判別をわかりやすくする
- デザイン性 … シンプルさ、美しさ、整理、整合性をもつ
- 可読性 … 文字列としての単語・文章の読みやすさ
駅構内の駅名表記などの交通標識や各種案内表示板、役所、病院など公共施設の手続き用紙などに用いられているようです。私生活において絶対的存在である公共施設の多くで使われているため、普段から意識して見ないと気づきにくいのですが、そこが UD の目指すところだと思ってます。
Touch the Invisibles
http://www.junji.org/invisibles/indexj.htm
触間隔提示デバイスと泡から構成された、情報世界と現実世界をつなぐ Tangible なインターフェース・デザインです。スクリーンの中に住んでいる人影のような生命体の高いの距離が、泡としてヴィジュアル化されています。
指先につけた振動デバイスによって、彼らを触った感覚が不思議と指先に感じられ、姿を消すと共に泡が生成されることで、彼らの存在感を体験することができる作品です。
実際にやってみましたが、爪の上からの振動にも関わらず、指先(指腹側)に触覚を感じられるインタフェースを用いています。これは、人間の指の動きによる知覚原理を上手く利用することで、錯覚を起こすようになっているようです。
こどもたちのUD移動ミュージアム
http://www.g-mark.org/nominate/detail.html?entryNo=G1570111
ユニバーサルデザイン教育を通じた社会貢献活動プログラムとして誕生し、今では小学校向けの貸出し学習教材として普及しているようです。
少子高齢社会に向け、次世代を担う子どもたちに、「年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、すべての人がいきいきと働き、社会参加し、暮らしやすい」ユニバーサル社会のあり方を伝え、考える力を育むしくみづくりを目的としています。
- ハンズオン体験できる展示ツール
- UD のこころを伝え、考える力を育む教育ツール
- 産官学をつなげるしくみづくり
という3つのコンセプトで構成されています。
『UD は、日常の中から問題点を「気づき」として感じる力である』という説明文が印象に残りました。気づいた問題点を解決してく模様は、正に問題解決能力です。幼い頃からの UD 教育にはこのようなメリットもあるのですね。
Good Design が5つの領域に分かれている中で、今回はネットワーク領域にフォーカスして周ってみました。全体的には、iPhone をインフラとしたアプリケーションや周辺機器の展示品が多かったように思えます。iPhone のように、UD の概念も社会的インフラとして早く根付いて欲しいです。