電子書籍の衝撃 - 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?
メディアコンテンツ業界にとって今、もっとも注目すべき発言者である佐々木 俊尚氏の著書「電子書籍の衝撃」を読了しました。
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電子書籍業界で今起こっていること、それは、Kindle や先日日本で発売されたばかりの iPad が取り巻くエコシステムの形成です。既に Kindle や iPad で書籍を読まれている方もいらっしゃると思いますが、一度マーケットに投入された情報コンテンツはリパッケージ化されて手元に届くようになりました。結果として今そこにある相対価値から絶対価値への変化が到来し、情報コンテンツがフラット化されることによって書籍業界は iPod が引き起こした音楽革命と同じ道を辿るのではないかと著者は予測しています。
つまり、電子書籍によって書籍業界は崩壊するのではなく、可能性が拡大する。その裏づけとなるのもう1つのキーファクターはコンテンツからコンテキストへの社会的なムーブメントです。マスメディアを主体に流通させていたマーケットが、今ではソーシャルメディアの普及によってコンテキスト重視の感性ドリブンの流通マーケットへと移行しつつあります。ケータイ小説がその好例で、フラット化されたマーケットの中で共感を促進させる口コミによってキャズムを乗り越えました。
「つまりアンビエント化によって引き起こされるリパッケージは、コンテキストの流れる圏域にまでミニマル化される。」 - pp262
ソーシャルメディアは、コンテキストを生み出すためには不可欠です。正にフラット化される世界では一人一人が音楽をセルフディトリビューション・書籍をセルフパブリッシングするようになり、マイクロインフルエンサーが多く誕生することになると思います。