booklog のパブーにて佐々木俊尚さんの新書「キュレーションの時代」の電子書籍を購入し、読了しました。電子書籍を購入したのは実は初めてだったのですが、読み終わった後に一覧をソートできるハイライト機能やポストイット機能、iBooks がインストールされている iPhone や iPad などのデヴァイス間のしおりの設定が同期されていたりと大変便利です。
その後、有志数名を集めて「キュレーションの時代」をキュレートする会を開催しました。職種や価値観が異なる数名で、本書を読んで互いに感じたことをシェアする非公式な場です。そのなかで、重要なキーワードとして以下のようなものが挙がってきました。
- Facebook を筆頭とするキュレーションを加速させるソーシャル・サービスが複数存在するなかで、マスメディアの内在化が発展している。
- マスメディアがソーシャル・ネットワーク上でノードの一環となり、消費者に情報を届けることが可能になる。その場合、マスメディアの定義が変わるのではないか。
- Techwave や CNET など、パーソナリティを持った情報源への注目度も上がっている。
- ロングテール理論から分析すると、小さなビオトープほど確実性があるように見える。
- 情報の発信源である人は記号と成り得るのか。セルフブランディングやソーシャルグラフの重要性が更に増してくる。
- 加えて「情報の質」は絶対価値と相対価値で担保される。
- 絶対価値の1つ、信頼は結局のところネットのみでは勝ち取れない。アーリーアダプダーは魅力からの信頼を得ている。
僕が感じたことは、Web2.0 の次が既に来ているということ。Web1.0(Web2.0 と叫ばれていた時期の前を仮に1.0としています)はフィジカル・メディアの進化が著しく、先端技術を駆使して状況や人によって変化している機構を有しモノや環境に溶け込んでいく、生活に密着したユビキタス・コンテンツが注目されていました。「1:不特定多数無限大」のパラダイムはしばらく続き、やがてはコンテンツを自分自身でプロデュースし、配信する「不特定多数無限大:不特定多数無限大」の時代(Web2.0)へと進化していったように思います。
情報を取捨選択し、整理し、共有する習慣は Web2.0 から既に存在していました。今回取り上げた「キュレーション」はそのなかでもウェブ上で表現する垣根を取り払ってくれているのだと思います。コンテンツを編集し、ベストな形で共有するための環境が整えつつあります。品質の良し悪しは主観的な問題で、それは世界が豊かになっていくための前提条件だと思います。最適なベクトルこそパッション。キュレーションは表現することの延長線上にあるだけで、如何にそれをシンプルに実現できるかがこれからのキー・ファクターだと思います。
「不特定多数無限大:不特定多数無限」から「みんな:みんな」への情報革命は、ソーシャル・メディアの発展によって可能となった「つながり」から生まれました。梅田望夫さんが「私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる」で提唱した情報が洪水のように流れる「情報大洪水」の心配はもうなくなります。今後溢れてくるのは、キュレーションが開拓する「表現の自由(Freedom of Expression)」だと思います。
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書) | |
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「世界の複雑さは無限で、その無限である複雑をすべて自分の世界に取り込むことはできません。ノイズの海と私たちが直接向き合うことは、とうてい不可能なのです。だから動物や人間は、さまざまな情報の障害をもうけて、その障害の内側に自分だけのルールを保っている。」