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UXploration

Explore the art of UX persuasion

AXIS December 2009 vol.142(前編) - ビジョン駆動型のデザイン #MIT

literature

僕のロールモデルの1人である MIT メディアラボ副所長・教授で「Tangible Bits(タンジブル・ビッツ)」*1を生んだ石井 裕さん(ちなみにもう1人ははてなの id:jkondo さん)が表紙で登場している「AXIS 2009年12月号」を購入しました。

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今月の特集コンテンツである「アドバンスト・デザインリサーチ」で、こちらのエントリーでもご紹介しました IDEO「HCD-Toolkit」も取り上げられていたので、前編・後編の2部構成でご紹介します。

石井さんと初めてお会いしたのは、2年前に行われた「リクナビNEXT」のイベントでした。

「2200年を生きる人々に何を残したいですか?」という問いが非常に印象的だったのを今でも覚えているのですが、この言葉は MIT の研究員に対しても使われているようです。結果として未来のビジョンを作り出す、あるいは追い求める大切さを石井さんは謳っていることが伺えました。

本書の特集で石井さんは、これからはユーザ・ニーズ・ドリブンのデザインではなく、ビジョン駆動型(ビジョン・ドリブン)のデザインが求められるようになると話しています。今あるテクノロジーやアプリケーションは1年後、10年後には陳腐化し、消え去ってしまう中で、コアとなるビジョンだけは我々がいなくなった後も生き続けることが出来るからです。

では、そのビジョンはどのようにして描き、作り出すのか。私が訪れたイベントでもお話しされていましたが、自分が死んだ後の未来を考えることで、新たなビジョンは生まれるとのこと。自分が死んだ後の世界やそこで生きている人々を想い、何が残せるかを考えてみることがビジョンを描く上では大切になってくる考え方であるようです。石井さんはこれを、中世ヨーロッパで誕生したMemento Mori(死を想え)」の思想に例えられていました。

「Human Computer Interaction(HCI)」というビジョンの基で誕生したコンセプト「Tangible Bits」に引き続き、石井さん率いる MIT メディアラボでは今度は「Radical Atoms(ラディカル・アトムズ)」というビジョンを描いています。

「Radical Atoms is a new vision-driven design research on interactions with Dynamic Physical Material that can 1) conform to structural constraints, 2) transform structure & behavior, and 3) inform new abilities. We have presented this post-Tangible Bits vision at CHI 2009 panel on April 9, 2009 in Boston. 」

マイノリティでありながらインプリメント領域への挑戦こそに価値を見出し、競争から競創に向かって孤独に耐えながら全力疾走する石井さんの姿は健在でした。

ビジョンを描く際に、石井さんはよく以下の質問を自分や相手に問い続けるようです。


  • So What?(だからどうした)

  • Who Care?(誰がそれに価値を見出すのか)

  • Why?(なぜそれをやるのか)

そして、これを何度も問い続けることで、より哲学に近い本質的な可能性が見えてきます。

「最終的にはなぜ生きているのか、なぜ存在しているのかということに行き着きます。そしてそれは各デザイナーのビジョン、志、そして哲学に繋がっていく。哲学という背骨がなければ、100年を越えてインパクトを与えるクリエイティブな仕事はできないのではないでしょうか。」 - pp14-15

「○○したい」や「○○に行きたい」などのニーズが生まれる背景には、その人の人間性はもちろんのこと、宗教やライフスタイルのバックボーンとなっているパーソナルなビジョンが必ず存在し、社会で発せられるフューチャー・ビジョンに少なからず影響されます。クリエイティターである我々は、人々のニーズのコアとなっているパーソナルなビジョンを更に拡張させるべく、新たなるフューチャー・ビジョンを描き、提唱していく志が必要だと伺えました。そしてそのビジョンは再び人々の中に根付き、長く生き続けられるビジョン循環型サイクルを構築していくのだと思います。

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*1:デジタルとフィジカルのよい要素を融合させる概念

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