iPad を購入してから早1ヶ月が経過しようとしていますが、iPad の「キュレーティッド・コンピューティング*1」としての特性を理解することができれば iPhone との使い分けは特に意識する必要性がなくなります。単なるノート PC とモバイルで区別するのではなく、機能をシンプルにキュレートする(絞る)ことで、iPad は既に PC を上回るユーザエクスピリエンスを提供しています。
iPad の基盤となる OS は iPhone そのものなので、機能面における目新しさは今のところありません。後述しますが、iPad や iPhone のデバイス間をシームレスにコネクトしているのは紛れもなくソーシャルサイトやアプリケーションです。『「情報過多の時代」の鍵は「キュレーション」』という記事にも書かれてあるように、"ウェブの自由さ"が生み出した情報過多時代を生き残る術として、ソーシャルサイトによるキュレーションという方法論を認識した最初の技術が iPad だと思います。
情報消費社会の消費者用に設計されたデバイスという着眼点は、ポータブル・ミュージック・プレーヤーが誕生した時代にはもう存在していました。iPad を何よりも加速されているのはその汎用性とデバイス上の特性に限ります。iPhone で使用しているアプリケーションは iPad でも動作するので、iPhone でフィルタリングした情報を iPad で展開する思考のフレームワークが可能になりました。
GoodReader、Dropbox、i文庫 HD がその好例です。それぞれのアプリケーションの詳しい使い方や連携方法は @kogure さんがご自身のブログネタフルで触れられているので割愛しますが、Dropbox や GoodReader 経由で青空文庫の文学作品などを快適に読むために電子書籍のインターフェースを実装している i文庫 HD にドキュメントを取り込めることができます。
参考までに IDEO の HCD-Toolkit の PDF ドキュメントを i文庫 HD で読み込んで表示していますが、すべての PDF ファイルを書籍形式に変換してくれます。iPhone でフィルタリングされた情報をクラウドサービスに格納し、同期(sync)させて iPad で展開することが容易になるので、冒頭で触れた iPhone と iPad の使い分けを意識する必要はありません。
『iPad は「キュレーティッド・コンピューティング」の時代の幕開けを告げるものだ。』 - 『「情報過多の時代」の鍵は「キュレーション」』
関連エントリー:
- [literature] AXIS December 2009 vol.142(後編) - 創造活動であるためのリサーチ手法とは? #IDEO #HCD
- [elements] iPad Wi-Fi 16GB #iPadJP
*1:「キュレーティッド・コンピューティング」とは、機能が絞られているが、使いやすい機器のことを指す。キュレーションとはもともと、博物館や美術館等で作品や資料を整理・管理・研究し、わかりやすい展示を行なう作業のこと