3月21日から25日まで、米国はルイジアナ州ニューオーリンズで開催された「IA Summit 2012」に参加してきました。そして、4月24日に Redux in Tokyo と称した報告会を参加してきたコンセントの長谷川さん、河内さん、アクアリングの平野さんと開催しました。
今年の IA Summit には世界中から述べ685名の方が参加され、開催市場最大規模となりました。全体のテーマとして掲げられていたのは「Experience Across Channels(チャネル横断のエクスペリエンス)」。カンファレンスではコンテンツやコンテキストにフォーカスした実践的な情報設計論から、Cross Channel と Multi-Channel の相違論といった探求/思考的なもの、そしてチャネル横断のエクスペリエンス・デザインを実現する手法やツールまで、多岐に渡るトピックが扱われました。
昨日の報告会では上記3つのタイプ別に、いくつかのセッションについてご紹介しました。計60以上のセッションの内、今回取り上げたのは全体の1/4も満たしていませんが、文章で読むよりも詳しくは当日の様子が録画された動画をご覧ください。
本報告会の冒頭でもご紹介しましたが、アメリカは NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)が提供するクロス・チャネルなサービスが今回の IA Summit が一番伝えたかったことに近いのではないかと考えています。
アメリカでは(アメリカン)フットボールは日本における野球のように幅広い年齢層から支持されており「どこでも生中継がみたい」という熱狂的なニーズが非常に高いです。家であろうと、モバイルであろうと、パソコンであろうと、チャネルを横断してフットボールの生中継が隙間なく、最後まで観れることを訴求したコマーシャルとなっています。
ポイントは、最後まで試合を観たいという大きなニーズがあることに対して、途中経過をいつでもどこでも観たいという左記の前提となるニーズにフィットするソリューションが、ユーザのライフスタイルにマッチする各チャネルを通じて提供されていることです。
それだけではありません。実際にサイトなどで各チャネルごとのスクリーンを確認してみると、デザインがスクリーンサイズに最適化されているだけではなく、スクリーン内のコンテンツが利用状況(コンテキスト)に応じて優劣がつけられていることがわかります。例えば、モバイルではそもそもスクリーンサイズが小さいため中継映像をフルビジョンでみせるのではなく、移動していることを前提に(果たしてそうかはわかりませんが)最新のスコア・ボード(そのほかに開催されている試合も含む)に目が行くようにサイズやデザインが調整されています。
これが実現可能になるのは、「メタデータ」と呼ばれるコンテンツ設計の前提となる親情報がきちんと設計されているからに過ぎません。この場合だと試合の中継映像、スコア・ボード、記録となるログ、これまでの試合結果、今後予定されている試合などがメタデータとして分類できます。すべてのチャネルに全く同じコンテンツを提供しているわけではありませんが、どのチャネルでもそのチャネルに応じて必要とされているコンテンツを最適な形式で提供できるように設計されているべきです。この重要性を実感したことと共に、多くのディスカッションの火種となり、論争を巻き起こし、カンファレンスでは「コンテンツ・ファースト」というコンセプトがバズ・ワードとなっていました。ただ、Next IA を考える上では良いヒントになったかと思います。
具体的にどうやってメタデータを設計すればいいのか?ユーザのライフスタイルに合わせたチャネルの定義はどのようにすればいいのか?などのヒントは上記の UStream 動画とともに、IA Summit 2012 にて発表されたスライドのまとめをご覧ください。