2月末に開催された W2C 主催の「IA2010」にて配布された「IAオピニオントーク」の DVD を観賞しました。出演者はキックオフセミナーにも出演されたコンセントの長谷川 敦士さん(@ahaseg)と清水 誠さん(@mak00s)に加え、ネットイヤーグループの坂本 貴史さん(@bookslope)、ソシオメディアの篠原 稔和さんが情報アーキテクチャの重要性や、インフォメーションアーキテクトの役割について討論されています。
DVD に収録されている映像は、後日公式ページにてネット配信される予定なので、詳細について触れないようにしますが、ウェブ構築プロセスにおける情報アーキテクチャの設計工程の位置づけやインフォメーション・アーキテクトの職種定義に関するオピニオンが興味深いです。
サイトの構築現場が巨大化、複雑化していく環境下でアメリカでは情報アーキテクチャが複数の職種に細分化されるようになり、当初はウェブ・マスター1人が担当した日本でもサイト構築の規模の拡大化を通じて必然的に情報アーキテクチャのプロセスがフォーカスされ始めました。分業の概念に馴染みがない国内においてはまだウェブ担当者が欠如していたり、情報アーキテクチャの設計工程が具体的に明示されておらず、各プロセスの成果物の評価範囲と基準が不明確であるという指摘もありました。
サイトを構築するためのプロセスが情報アーキテクチャとして集約されるようになりましたが、情報アーキテクチャの適応によって得られる
- 取り入れるべき情報の優先順位付け
- 長期的なドキュメントサイクルにおける情報の管理・運営方法
などのメリットがまだ浸透されていないのが現実です。
また、情報アーキテクチャという専門領域とあわせてそれを実施するインフォーメーション・アーキテクトという専門業種の定義が疎かになっていることも、情報アーキテクチャの重要性が認識されていない原因の1つだと考えられます。
インフォメーション・アーキテクトでなければ情報アーキテクチャの設計プロセスを実践できない、という方程式は決して成り立たず、インフォメーション・アーキテクトはウェブの制作や運営に携わっている者であるならば、当然持つべきスキルです。どのようなロジックで、構成でサイトを作って、運営していくのかを揮発できる重要性を認知してもらうためには、まず情報アーキテクチャは専門領域であるという認識を払拭しなければいけません。
専門職が評価されにくい国内において情報アーキテクチャのあるべき姿を提唱し続けるのは容易ではありません。キックオフセミナーで長谷川さんもお話されていましたが、結局のところ「情報アーキテクチャって儲かるの?」それを答えるのは僕達の世代の役割なのでしょう。