Movida Japan様の Seed Acceleration Program の一環として、今回も5期生の方々を対象とした Lean UX を題材としたワークショップ を開催しました。
監訳を務めさせていただいた「Lean UXーリーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」の出版後初となるワークショップのため、今回は本書の内容を掻い摘んで以下の構成で半日ワークショップを実施しました。
- Lean UX とは?
- CPS 仮説検証モデル
- Lean UX ワークショップ
- プロトタイプ
先ずは Lean UX と基盤となるユーザエクスペリエンス・デザインの概要を簡単に紹介し、ユーザビリティの改善を目的とした人間中心設計の普及からエンジニアリング領域へのドメインの拡張、そして今回の主題となるサービスないしはビジネスそのものを対象した「ユーザエクスペリエンス・デザインの発展」について説明しました。
この発展こそが Lean UX のなぜ?なに?を理解する上で重要だと思います。
加えて、午前中は Lean UX の特徴と、Lean UX の実践に必要なマインドセットをご紹介しました。
Lean UX の5つの特徴:
- 品質を担保しながらプロセスの無駄を省く
- 部門や領域横断のコラボレーションの実現
- チームの「学びのエンジン」を動かす
- デザイン思考とアジャイル開発の調和
- 中間生成物主体のビジネスからの脱却
Lean UX の4つのマインドセット:
- コラボレーションと透明性:デザイナー含め、他のメンバーがチームから独立して働く贅沢はもう許されない。
- ドキュメントは解決に繋がらない:何を創るか(機能や文書)ではなく、何が効果的かにフォーカスして議論する。
- 問題解決よりも問題発見と定義:正しくモノをつくるよりも、正しいものをつくる。
- 徹底した仮説思考:すべてのデザインは仮説である。仮説(デザイン)を検証するために、実験を試みる。
昼ご飯を挟み、午後はチームメンバーの前提や思い込みを書き出して仮説を構築する CPS 仮説検証モデルのフレームワークを紹介し、午後のワークショップに繋げました。
CPS は Customer/Problem/Solution の頭文字を取った名称で、その名のとおり、この3つの軸によって前提となる仮説を構築し、検証の軸を設定することができます。
- Customerー顧客は存在するか?
- Problemー顧客が抱えている課題は実在するか?気づいているか?
- Solutionー対象のサービスやプロダクトは問題を解決できているか?
サービスのステージと目的によって着手する順序は変わってきますが、今回はサービス(Solution)を既に提供している方々が参加されていたため、対象となるサービス(Solution)を利用している想定ユーザー(Customer)、そして想定ユーザーの利用シーンと抱えている課題(Problem)の前提の洗い出しを行い、サービス(Solution)とのフィット&ギャップを把握することを目的としました。
Lean UX ではドキュメント作成に時間を費やしません。ドキュメントそのものはユーザーにとって何の価値もないからです。ワークショップでは、
を取り入れ、短時間でかつ必要最小限の情報公開に留めました。
先ずは個人ワークで必要情報を「思い込み」で記入してもらいました。この間のチーム内ディスカッションは一切禁止。
静かな時間だけが過ぎていきます。
Movida 様も実践中。
前のエントリーでも紹介しましたが、Lean UX は「学びのエンジン」です。対ユーザーからの学びはもちろん、対チームメンバーからの学びを推進できることが Lean UX の特徴の1つでもあります。ひと通りの作業を終えると、個々人が思う自身のサービスとユーザー、そして解決したい課題の前提をチーム内で共有していただきました。ここまでで2時間も掛かりません。
- 対象となるユーザーの認識は合っているか?
- 想定しているユーザーの、解決したい課題の認識は合っているか?
- 検証しなければいけない項目はどれか?
前提が完璧に共有できるチームは極稀です。多くの場合は認識の齟齬が生じ、前提の整備から議論はスタートしていきます。
「え?そうなの?」「あ〜そっちのほうが前提としてはありかもしれない。」といった学びや発見が続々と生まれていきます。
但し、議論を重ねていく上で「答え」を導き出せることはありません。なぜなら答えはユーザーしか知らないからです。
Lean Startup Machine Tokyo でも実践している CPS 仮説検証モデルの目的は、検証済みの前提と未検証の前提を洗い出すことにあります。ワークショップ当日は外に出で(GOOB: Get out of the building)直接ユーザーに触れ合う機会は時間の都合上設けられませんでしたが、今後のユーザーからの学びを促すためのトリガーとして、未検証の前提をチームごとに洗い出していただきました。
外に出て前提を検証する際に、もしかしたら思い込んでいた内容と異なる場合があるかもしれません。そんなときはピボットし、CPS の軸設定を維持しながら整合性を図って行けます。
最後に、検証したいアイディアをカタチにするための手段としてプロトタイプの種別ごとの特徴と、検証可能な項目を紹介して終わりました。
会期後には参加者から好評の声を多くいただきました。ありがとうございます!
LeanUXのワークショップ最高でした。
本日はありがとうございました!ちょうど悩んでいた所でしたので、とても勉強になりました。
私含めチームのもう一名のメンバーで参加させていただきました。
とても良い学びだったと感じております、本当にありがとうございました!
本日は、長時間ありがとうございました。チームメンバーとの認識に齟齬がないか、また互いに感じているサービスの課題が共有できました。
ちょうど、今月から学生インターンも参加することもありますので、本日のワークを実践してみようと思います。
本ワークショップを通じて、俯瞰的かつ具体的に自分のビジネスを捉えることが出来て、よりサービス内容を精緻化していくことが出来ました。自分の場合、これからサービスを作っていく人間ですので、大変、参考になりました!
来月も Lean UX 関連のイベントを複数計画しておりますのでお楽しみに!
Lean UX ―リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン (THE LEAN SERIES)
- 作者: ジェフ・ゴーセルフ,ジョシュ・セイデン,エリック・リース,坂田一倫(監訳),児島修
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2014/01/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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