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UXploration

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AXIS December 2009 vol.142(後編) - 創造活動であるためのリサーチ手法とは? #IDEO #HCD

literature

前編でもご紹介した AXIS の今月号の特集は「アドバンスト・デザインリサーチ」。多くの企業が実践している各々のリサーチ手法が紹介されていましたが、後編のエントリーでは IDEO に見る、創造活動であるためのリサーチ手法に触れてみたいと思います。

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「発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」にも記されていますが、IDEO が開発した創造的デザインを生み出す発想メソッドに「深い洞察」とも呼べる「インサイト」があります。これは、現場からリサーチした洞察を具体的なデザインにまとめる手法です。

IDEO ではリサーチをするにあたり、「クオリティティブ・リサーチ(質的リサーチ)」の考え方を採用しているようです。クオリティティブ・リサーチとは、対象を少なく絞り、情報や数字としての抽象的な人ではなく、生活や文化的背景を含めた1人の人間としての理解を深くしている姿勢のこと。クオリティティブ・リサーチの考え方に基づいた IDEO 独自のリサーチ方法は「アナロガス・エクスピリエンス(類似体験)」と呼ばれ、被験者と同様のライフスタイルや利用シーンを体験することで、一人の人間として洞察するようにしてるようです。

アナロガス・エクスピリエンスは、ユーザーインターフェース・デザインの評価手法である「認知的ウォークスルー*1」に当てはめることができると思います。しかし、ペルソナ・シナリオ法などに従って作成されたターゲット像はユーザー・センタード・デザインの概念に基づいているため、IDEO のヒューマン・センタード・デザインとは異なります。

これらの IDEO の発想メソッドを基に作成された「HCD Toolkit(ヒューマン・センタード・デザイン・ツールキット)」は、医療や教育分野など、触れることが出来ないサービスであってもプロダクト・デザインで用いられる手法と同じようにデザインを完成させていくことができるように作られているため、今注目を浴びています。

「概念的になりがちなアイディアを手で触れることができる状態にして、まず一度外に出してみるのだ。」- pp31-32

ツールキットはオープンソース化されていて、既に「Open Source Innovation(オープン・ソース・革命)」との評価を頂いているようです。IDEO という小さな組織を超えてデザインの力が社会的問題の改善に大きく貢献していることが伺えるのではないでしょうか。

IDEO は人間(ヒューマン)そのものに着目したリサーチ手法を実践しています。数々のデザイン・プロセスが固定されつつありますが、その道を辿れば必ずしも良いデザインが挙がってくるというものでは当然ないと思います。そういう意味では、IDEO の独自のリサーチ手法は優れているのかもしれません。

“Design thinking is an approach that uses the designer’s sensibility and methods for problem solving to meet people’s needs in a technologically feasible and commercially viable way. In other words, design thinking is human-centered innovation.” ― Tim Brown
via. Approach - Thinking - IDEO

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*1:初めてシステムを利用するユーザーが試行錯誤によって自ら利用方法を体得する「探索型学習」のフローを、ユーザーインターフェースは適切に支援しているか、という点に着目する。具体的には、評価者が想定されるタスクに沿って実際にシステムを利用しながら、ユーザーの思考過程や行動を推測して問題点を抽出する。

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