デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方
日本法人が近々立ち上がるのではないかと噂されている米デザイン・コンサルティングファーム「IDEO」の社長兼CEOである Tim Brown 氏の著書「デザイン思考が世界を変える」を読了しました。
IDEO はプロダクトやアイディアを生みだしていくデザイン創造プロセスを仕組み化している組織で、様々なイノベーションを世に起こしています。本書では、そんなIDEO社の事例を交えて、デザイン思考の人間中心の原理に基づく「思考の材料」が沢山詰められていました。
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デザイナーが人間中心の原理に基づいてモノをデザインするように、プロジェクトやビジネスそのものにもデザイン思考の必要性を特定します。ただ、IDEO が素晴らしいのは、デザイン手法のメソッドやノウハウをまとめたガイドブック"HCD(Human Centered Design)ToolKit"や"Method Card"で記されているような、人々の Needs を需要に変えてしまうデザイン思考のフレームワークを持ち合わせているところです。
「人間の抱える基本的な問題とは、人間は不便な状況に適応するのに長けているということだ。」 - pp55
人間は変化を嫌う生き物です。求められている Needs に応えるだけではイノベーションは起こり得ない。その先にある潜在意識を刺激するようなアイディアがどうやって生まれるのかを予知するアルゴリズムなど存在しないのだから、如何にしてカスタマー・エクスピリエンスに沿って様々なタッチポイントを構築できるかがカギとなります。
デザインは人に花束を渡すようなもので、相手への理解や共感を利用すれば、相手の積極的な参加の機会を生み出す経験のデザインが可能になります。デザイン思考が持ち合わせている人間中心の性質は、花束を渡すまでの次なるステップを示してくれる、1つの物語なのかもしれません。
Tim Brown 氏は他メディアでも"Design Thinking(デザイン思考)"について触れられているので、興味がある方は以下の記事もオススメします。