「アヒルと鴨のコインロッカー」や「ゴールデンスランバー」は劇場にて観賞したのですが、伊坂幸太郎さんの作品を手に取るのは今回が初めてでした。
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「グラスホッパー」は正統のハードボイルド小説。複数の登場人物が交互に語り手を務め、多視点の一人称で展開されていきます。そして混じり合い、繰り広げられる三つ巴戦。ハードボイルドといえばアクションがつきものですが、本作の場合は「ゴールデンスランバー」同様に、辛くとも与えられた運命を突き通す、それ故に努力する姿勢がハードボイルドだと言えました。
伊坂さんの作品の特徴でもある、人間的破壊における写実的な場面描写や哲学的発言も健在で、作品名かつコンセプトでもある「グラスホッパー」に纏わるメッセージが随所に散りばめられています。
「人間というのは哺乳類じゃなくて、むしろ虫に近いかもしれないですね。」 - pp160
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