アクセシビリティではなく、ユニバーサルデザインにフォーカスしている点がユニークです。高齢者や視覚障害者だけではなく、利用端末やインターネット接続環境を視野に含めるとユニバーサルデザインという視点が必要になってくることは確かです。
ウェブアプリケーションのためのユニバーサルデザイン | |
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iPhone は言うに及ばず、それ以外の形態電話やノートパソコンのような新しいプラットフォームが登場し、人々がウェブにアクセスする環境を変化させ続けています。部屋を掃除しているときや運動中など、より様々な状況で情報にアクセスするようになっている。状況によって生じる障害やアクセシビリティも多様化し続けている中では高い対応力が必要になってきます。
そのような様々な状況や能力の差異のためにデザインを行うことは、自分自身の視点を変えるだけではなく、結果として自分のサイトにやってくるユーザを増加させることにも繋がることを認識しなければ、この参考書を読むに値しないと思います。
「ユニバーサルデザインはあなたのコンテンツをより多くの人に届け、そして彼らが人生の中でそのコンテンツにアクセスし続けられるようにすることができる。」- pp17
本書では障がいを持っている人がどうやってウェブを利用しているかを示している「How People with Disabilities Use the Web」などの参考資料や主題となっている Flash や Silverlight などのリッチ・インターネット・アプリケーションのアクセシビリティガイドラインが網羅された最新のサポートツールやテストツールもピックアップされているので、ウェブアプリケーションの操作性を保障するアクセスしやすいコンテンツあるいはコンポーネット構築の実践的な設計/開発方法を修得することができます。
- WAI-ARIA Overview(Web Accessibility Initiative-Accessible Rich Internet Applications)
- Authoring Tool Accessibility Guidelines (ATAG) 2.0
- Mobile Web Best Practices 1.0
「我々は視覚障がい者のためにデザインなんてするべきじゃない」などの指摘を受けた時点で理性的な議論はすべて終わってしまいます。ビルを利用しづらくするのは階段であり、車いすではない。ユニバーサルデザインを実践することでマーケットを拡大してくれるし、結果的にマネタイズにも貢献してくれる。ユニバーサルデザインは革新的で報酬も生み出す。なのに、それを行わない理由がどこにあるだろう?