日本ウェブ学会が主催する「IA2010」のキックオフセミナーに参加してきました。
コンセントの長谷川 敦士さん(@ahaseg)や実践CMS*IAでお馴染みの楽天の清水 誠さん(@mak00s)らが講師として招かれ、情報アーキテクチャの工程にスポットをあてたセッションが開催されました。
(当日の資料:Keynote A. Hasegawa / アジャイル時代のWeb解析事例)
セッション全体を通して、サイト構造やインターフェースなどを設計するための根拠として定量調査(ログ解析)や定性調査(ユーザテスト)を用いる重要性について説いていました。非常に印象的だったのは、定量調査/定性調査と並列でペルソナの潜在ニーズ/顕在ニーズを見極める必要があるということ。
ペルソナは、ユーザの行動や目的などの要素にフォーカスし、ターゲットセグメントを可視化した感情移入を可能にする象徴です。潜在ニーズと顕在ニーズの見極めは、結果としてそれらのペルソナから抽出したシナリオ別に機能要件を規定した後にペルソナのエンドゴール/エモーショナルゴール/ライフゴールを検証する際に役立ちます。
情報アーキテクチャといえばアイトラッキングなどのユーザテストや、ペルソナ設計に着目した定量調査がフォーカスされることが多いと思いますが、アクセス解析から導き出されるユーザの詳細な行動分析が容易になってきた今だからこそできる定量調査があります。
ペルソナ・スケルトンの構築や定性調査の有効性を検証したり、マーケットセグメントのインサイトを明確にしたりと、ユーザに共通する隠れたニーズを発見することがログ解析のポイントです。定性調査と定量調査を上手く組み合わせることで、ターゲットの正当性を高めることができます。長谷川さんもお話されていましたが、結局のところ「情報アーキテクチャを実践すればどれだけ儲かるの?」に答えるためには明確な根拠を探る必要があります。その手段として定量調査を用いることが出来れば優位になるのではないでしょうか?
どちらにせよ、今回のように情報アーキテクチャに関する不確実な問いを投げかけ、議論する場はなかなかありません。今後は IA オピニオントークやペルソナワークショップなどが開催されるようなので、引き続きコミットしていきたいと思います。