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ExperienceFellow - カスタマージャーニーマップの自動生成ツール

ExperienceFellow(エクスペリエンスフェロー)というオンライン・ツールをご存知でしょうか?

THIS IS SERVICE DESIGN THINKING の著者 Marc Stickdorn氏と Jakob Schneider氏が共同で立ち上げたサービスで、一言で言えば「カスタマージャーニーマップの自動生成を可能にしてくれるツール」です(カスタマージャーニーマップとは?については「ユーザーエクスペリエンス・ジャーニーマップ」をご参考ください)。

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ExperienceFellow とは?

ExperienceFellow が掲げているコンセプト「Research customer experience」が示す通り、被験者のエクスペリエンス(体験)を記録し、ジャーニーマップとして可視化するだけではなくチーム内でジャーニーマップを起点にコメントや洞察を登録・評価することができるサービスデザインのためのツールです。



ExperienceFellow の使い方

ExperienceFellow の使い方を説明します。

  1. 依頼者側がデスクトップのサイト上にプロジェクトを登録する。
  2. 被験者側がモバイル・アプリケーション上でプロジェクトに参加する。
  3. 被験者側がモバイル・アプリケーション上でエクスペリエンス(体験)を登録する。
  4. 依頼者側がデスクトップのサイト上でプロジェクトを終了する。
  5. 依頼者側のデスクトップのサイト上に反映された被験者の入力データを評価・考察する。
  6. 依頼者側が登録されたデータをジャーニーマップとして出力する。
ステップ1:依頼者側がデスクトップのサイト上にプロジェクトを登録する

先ず、依頼者側がプロジェクトと関係するメンバーをデスクトップのサイト上に登録します。

尚、当サービスが未だβ版ということもあり2014年12月度の利用料は無料となっています。今回は、僕のプライベート旅行で試験的に使用したデータを元に再現しています。

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ステップ2:被験者側がモバイル・アプリケーション上でプロジェクトに参加する

プロジェクトが登録されると、今度は調査の対象となる被験者に情報を入力してもらうためのアクセスコードを QR コード形式で提供します。被験者は事前にインストールが必要な ExperienceFellow のモバイル・アプリケーション経由(2014.12.19時点では iOS のみ)で QR コードを読み取り、プロジェクトに参加します。

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ExperienceFellow のアプリケーション内、被験者のモバイルデバイスにプロジェクトが登録されました。上記のキャプチャは既に使用済みのデータであるため幾つのデータが登録済みか、プロジェクトごとに表示されます。

ステップ3:被験者側がモバイル・アプリケーション上で体験を登録する。

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プロジェクト登録後よりすぐに体験の入力を開始することができます。ここでは「NEW TOUCHPOINT」としていますが、「NEW EXPERIENCE」とラベルを編集することができ、被験者に取って自身の体験またはジャーニーの入力しやすさを考慮して依頼者側で選択できるようになっています。

タッチポイントごとの登録(=NEW TOUCHPOINT)は被験者にとってサービス提供者側とのインタラクションを意識させなければいけないため、よりニュートラルな情報を得たいのであれば日記のような感覚で入力を促すことができる体験ごとの登録(=NEW EXPERIENCE)が良いかもしれません。

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入力画面は至ってシンプルです。体験した出来事を一行で記入し、5段階評価でその時の感情を選択します。

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加えて、メモやその時の体験を記録するための写真やビデオなどのメディアファイルを添付することもできます。LOCATION(位置)機能はモバイル・アプリケーションのGPS機能がアクティベートされている場合のみ、位置情報が付与されます。

登録後には定期的に登録データを依頼者側のデスクトップサイト上に送るために同期する必要があります。

ステップ4:依頼者側がデスクトップのサイト上でプロジェクトを終了する。

プロジェクトの終了は依頼者側がデスクトップサイト上のダッシュボードで宣言することができます。

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入力されたデータがダッシュボードに集約され、被験者ごとにデータを閲覧することができます。ダッシュボードでは総データ数、感情の平均スコア、簡易ジャーニーマップがサムネイルとして表示されます。

ステップ5:依頼者側のデスクトップのサイト上に反映された被験者の入力データを評価・考察する。

被験者ごとのデータを選択すると、入力したデータが時間軸で表示されます。

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当画面では登録されたデータ(画像・ビデオ含む)を閲覧することができると共に、各データごとにタグやコメントを付与することができます。

例えばこの場合は感情の平均スコアがマイナスポイントとなっている時間帯は空港という場所に依存している可能性が高かったため、「Airport」というタグを付与しています。また、考えられる原因や改善点もあわせてコメントとして登録しています。

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ステップ6:依頼者側が登録されたデータをジャーニーマップとして出力する。

以上の考察と評価は必要であれば行います。ExperienceFellow には常時 PDF へのエキスポート機能が搭載されており、被験者の入力データを基に可視化されたジャーニーマップを自動的に生成し、被験者ごとの出力やプロジェクトごとの出力が可能となっています。

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まとめ

前述しましたが、ExperienceFellow は被験者のエクスペリエンス(体験)を記録し、ジャーニーマップとして可視化するだけではなくチーム内でジャーニーマップを起点にコメントや洞察を登録・評価することができるサービスデザインツールです。

なぜ、僕が ExperienceFellow に目を向けたのか?ExperienceFellow は以下の点で優れています。

  • 時間的・物理的制限から開放される、リモート・エスノグラフィーが可能
  • ユーザー(被験者)の生データを直接ジャーニーマップに反映することが可能
  • ユーザーに負荷をかけず、コンテキストを破壊することなく日記感覚で入力を促すことが可能
  • リモート環境下でも複数のプロジェクトメンバー間のコラボレーションが可能

尚、今回はセルフ・エスノグラフィの要領で自身の旅行体験を軸に依頼者側・被験者側の当サービスにおける検証を行ってきましたが、改めて、ユーザーセントリックに普段から行っているサービスデザイン業務における調査の信憑性や妥当性を証明することの大切さを学びました。

最後に、2014年12月一杯までは利用が無料です。試験的に、依頼者側としての参加となりますが ExperienceFellow を体験してみたいという方がいらっしゃれば、ぜひ下記「通勤体験の改善」プロジェクトにお気軽にご参加ください。

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モバイル・アプリケーションは下記よりダウンロードが可能です。前述しましたが、現時点では iOS のみの提供となっています。

ExperienceFellow

ExperienceFellow

  • mohemian
  • ビジネス
  • 無料

 関連記事:


User Experience Journey Map - ユーザーエクスペリエンス・ジャーニーマップ - UXploration


サービスデザイン―無形をデザインする - UXploration

 

Lean Startup Update - 2015年1月16日開催

2015年1月16日(金)に開催される「Lean Startup Update」に僭越ながら登壇させていただくことになりました。

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日時:2015年1月16日(金)19:00〜22:00
定員:100人
参加費:無料
会場:日本マイクロソフト株式会社 31F セミナールーム A
公式ハッシュタグ:#LeanStartup
URL:https://atnd.org/events/60368

プログラム:

  • Lean Startup(河合太郎)
  • リーンスタートアップ導入の現場(黒田樹)
  • Lean UX Quest in Tokyo(坂田一倫)
  • Lean Analytics(角征典)
  • 絶対に行き詰まるリーンスタートアップの始め方(冨山香織)
  • Lean Customer Development – 「この製品が欲しいですか」と聞いてはいけない(馬田隆明)

2011年に発売された書籍「The Lean Startup」以降、著者である Eric Ries氏がシリーズエディターを務める THE LEAN SERIES より「Running Lean」「Lean UX」「Lean Analytics」「UX for Lean Startups」「Lean Customer Development」「Lean Enterprise」「Lean Branding」など数々の関連書籍が刊行されるようになりました。

米国では毎年年末に The Lean Startup Conference が Eric Ries氏主催のもとシリコンバレーにて5日間に渡り開催され、企業 / NPO / 自治体問わず多くのアントレプレナーをアメリカ全土から収集し THE LEAN SERIS の方法論に関する最新の知見の披露、成功例や失敗談の意見交換そして議論が行われ、リーンスタートアップの方法論は毎年進歩を続けています。

"We consider startups to include any new product or service facing conditions of extreme uncertainty–which means that our customers include not just two people in a garage in Silicon Valley, but also established companies in all sectors, non-profit organizations, government agencies, and educators." ー The Lean Startup Conference

僕が監訳を務めさせていただいた「Lean UX」に至っては、ニューヨークを起点に Lean UX NYC が The Lean Startup Conference 同様に毎年開催され、独自の議論がなされているほどです。過去に参加した当イベントの記録は「Agile UX New York City 2012(※ Lean UX NYCの前身)」をご覧ください。

そして今回、この THE LEAN SERIES の監訳や翻訳に関わった方々やリーンスタートアップを推進している方々で集まり、日本でもリーンスタートアップ・ムーブメントをアップデートする試みを来年より開始する運びとなりました。

Lean UX からは Lean UX Quest in Tokyo と題し、2014年1月22日の刊行以降の活動と、Lean UX Circle を始めとする団体活動のアップデートを予定しています。


募集は atnd より行ってますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。会場でお会いしましょう。

関連記事:


Agile UX New York City 2012 - The Premier Agile & LeanUX Conference - UXploration


Designing Culture with Lean UX〜ルールではなく文化をつくる〜 - UXploration

エンタープライズ情報アーキテクチャ

EIA(エンタープライズ情報アーキテクチャ)とは「企業・組織(エンタープライズ)の全体俯瞰によるウェブの最適化を行うIA(情報アーキテクチャ)」です。

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個々のサイトの情報設計ではなく、企業や組織が保有するウェブサイトや CMS、イントラネットなどを含めたシステムをまとめた全体像を取り扱うことが特徴です。

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((c) EIA as Brand Strategy)

また、企業や組織全体のウェブに関わる業務や情報資産を俯瞰することで、個別部署ごとではなく、企業全体の「全体最適化」を行うことを目的としています。EIA が取り扱う問題は、主にウェブにおけるガバナンスや企業・組織が保有する情報資産の有効活用(共通情報の共有、効率的運用方針の策定、重複投資排除によるコスト削減)です。

EIA と「伝わるしくみ」

ぼくが所属するコンセントは「伝わるしくみ」をデザインする会社です。

最も重要なのは「伝わること」。
その単純で絶対的な目的のためには、同じく単純な3つのステップが必要です。

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伝わるしくみとは:伝える手法の探求から、伝わるためのしくみの共有へ | ラボ | 株式会社コンセント

コンセントが考える EIA は、企業や組織が保有する情報資産を如何にしてユーザーに届けるか/伝えるか、正にその橋渡しとなる「しくみ」を設計・構築します。

この場合のユーザーは「エンドユーザー」のみならず、「社内ユーザー」も含まれます。ウェブサイトを運用する企業や組織内のコミュニケーションにおいて部門ごとのサイトが整っていなければ、統一したブランドイメージを保つことはできません。加えて部署ごとのサイトの回遊がコントロールされていなければブランドへの信頼が下がってしまいます。そのためには社内ユーザー間のコミュニケーションデザインも視野に含めなければなりません。

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((c) 伝わるしくみとは:伝える手法の探求から、伝わるためのしくみの共有へ)

社内そして社外における「伝わるしくみ」を考え、共有することで全体最適化の推進によってブランド価値が向上するだけではなく重複投資が回避され、新たな機会創出へと繋がります。また、同時にエンドユーザーのストレスが軽減され、情報取得の効率が向上することで優れたユーザーエクスペリエンスを実現することができます。EIA は、情報に関わるすべての人々の「伝わるしくみ」を考えていくための方法論なのです。

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(EIA は情報に関わるすべての人々の「伝わるしくみ」を考えていくための方法論)

まとめ

当ブログの過去の記事でも言及しましたが、実行性の高いプランニングと実行にうつすための企業や組織内での立ち振る舞い方。このふたつがなされない限り、サービスデザインをはじめとする当初の構想は絵に描いた餅に終始してしまいます。

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EIA はサービスそのものを構造的に捉え、抽象度の高い戦略または構想を情報アーキテクチャの観点からサービスのモデル化を推進することで、ウェブのみならずサービスそのものに具体性を与えることが可能になります。

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コンセントではどのように EIA プロジェクトを推進しているのか。詳しくはコンセントの広報用ウェブマガジン「サストコ」の EIA 特集をご覧ください。

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