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#ShibuyaUX - Reminiscence of UX (ユーザエクスペリエンス回想録)

早いものでもう12月。気づけば忘年会の季節です。ShibuyaUX も「ShibuyaUX #8 Year End Party LT祭り〜YOUしゃべっちゃいなよ!〜」と題した忘年会を昨日開催しました。

ShibuyaUX が発足してから今月で1年が経ちますが、過去数回の開催を振り返ってみるとカンファレンス・スタイルに偏っていたため、改めて「みんなが主役」の ShibuyaUX を取り戻すべく今回は初のライトニングトーク形式を採用しました。(少々強引で申し訳ありませんでしたが)参加者はライトニングトークへの参加を必須とし、計15組の方々に発表いただきました。話す内容に特に規制は設けず、近状報告から事例発表、最近参加してきたイベントの感想など、トピックは多岐に渡りました。もちろん、僕も参加しました。

これまでは事例発表が主だったのですが、年末ということもあり、一年分のユーザエクスペリエンスの思想を "Connecting the Dots" の要領で「回想録(Reminiscence)」としてまとめてみました。

ユーザエクスペリエンス領域の業務に携わってから都度思うことがりました。「自分は誰にどんな価値を提供しているのだろう(提供できるのだろう)?」。はてな近藤社長の言葉を思い出しました。

『どんな世界も自分が何かを始める前は自分が居ない状態で回っています。しかも、そこそこちゃんと回っているのです。何か新しい事を始める時、「その世界はあなた無しでもちゃんと回っている」状態から出発する事を忘れないでください。極端な話、「自分が生まれなくても地球は問題なく回っていた」のです。新しい領域に挑戦すると言う事は、自分が不必要な状態から、自分が必要とされる状態への変化を、自分の力で起こすという事なのです。』
はてなに入った技術者の皆さんへ

ユーザエクスペリエンス・デザインに長けたデベロッパー、あるいはビジネスマンが育てば、僕の存在価値はありません。そんな未来を、常に意識しています。"Memento Mori(死を想え)"に近いかもしれません。そこで僕はパターンランゲージの第一人者である中埜博さんと出会いました。

「人間中心と言うからには、私は本当に人の幸せを考えられているのか、常に考えるようにしている。」 - 中埜博
第3回HCD-Netサロン「パターンランゲージとHCD」

ウェブ業界にいると自社のサービスを使ってくださっているエンドユーザの方々の表情はもちろん、「サービスがある生活」すら目にすることがありません。結果、人間中心設計を導入して自己満足の世界に浸っていないか?優れたユーザ体験をデザインします、と胸を張れるか?と自問自答するようになりました。考えていなかったことは否めません。Zappos CEO のトニーが説明しているように、エンドユーザの本質的な欲求は「幸せになりたい」につきます。「幸せをデザインする」ことが僕の任務であり、つまりは本質的な仕事であるという自覚と同時に、責任を追求するようになりました。

女の子みたいな台詞ですが、「幸せってなんだろう?」と次に考えたときに、どうすれば人は「幸せ」と感じることができるのかを特定することができれば、方程式を導きだすことができればデザインすることができるのではないか。幸せを求めるエンドユーザさんに愛される自社サービスを展開するために任せられるポジションはインフォメーション・アーキテクトとかではなくラブ・アーキテクトなのではないか、とか。答えはまとまっていませんが、結局のところ自分が幸せにならなければ(あるいは幸せを経験しなければ)同様の価値を提供することは皆無に近いのではないかと思い、僕も忘れかけていた1つの問いを最後に投げかけてみました。

定量以外の評価が見えにくいというウェブならではのデメリットを克服する上でも、坂本九さんが切望しているように、幸せになったら起こる現象を目指して来年もがんばりたいと思います。

と、これまでは考えたことも人に伝えたこともない思想を赤裸々に公開してみました。来年度も ShibuyaUX をよろしくお願いいたします。

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