UXploration

ブログは note に引っ越しました→ https://note.com/kazumichisakata

Persona Photography - ペルソナの本質はカバンの中に

アメリカはジョージア州アトランタ(実は私が育った場所)で活動中のフォトグラファー、Jason Travis(ジェーソン・トラビス)さんが非常に興味深い取り組みをされています。

Cassie Diptych

Persona Photography(ペルソナ・フォトグラフィー)」というアート作品シリーズで、アトランタ在住の実在する人々の顔写真と、彼・彼女が保有しているカバンの中身を Diptych(二枚折り)形式で Flickr 上に公開しており、世の UX デザイナーの注目を浴びています。驚いたことに、Jason は UX デザイナーとしての経験は一切ありません。ではなぜシリーズ化に至ったのか―。

CNN のインタビューで彼はこう答えています。

ある日、友人を撮影していたときだった。写真映りは非常に良かったのだが、その人らしさに欠けていた。そこで考えた。外見のみがアイデンティティを定義するのではない。撮影された写真を眺めていると、その人がどのような生活をおくっているのかが気になり、カバンの中身を覗いてみたいと思うようになった。所有物が分かれば、その人らしい生活が垣間見れるからだ。

以降、彼は定期的に Diptych を公開し続けました。結果として人々にインスピレーションを与え、ペルソナを検討する際の有益な判断材料として注目を浴びるようになったようです。実際に彼の作品を覗いてみると、大胆に公開された所有物からはその人らしさが伺えます。

Erin Diptych

Patrick Diptych

Jason のこのアプローチは、ペルソナを構築していく上でとても本質的なことを指していることに驚きました。前述したとおり、対象としているペルソナは男性なのか女性なのか、どこに住んでいて、どのような家族構成なのか、といったファクトはもちろんのこと、その人のライフスタイルであったりパーソナリティを理解しなければ、「ユーザをわかっているつもり」で終わってしまい、横断的なユーザエクスピリエンスの設計は困難になります。

彼がそうであったように、実際にカバンの中身(や少なくともその人のライススタイルが理解できる要素)を見てみなければ、その人をアイデンティファイすることはできません。現在、彼は活動の幅をアトランタ(アメリカ)に限定しているようですが、彼の作品はアメリカを対象としたサービス設計に役立てますし、ターゲットすべきユーザの認識を合わせる際にも有効で先入観を取り払ってくれるコレクションです(日本でも同様の取り組みをして欲しい…!)。

関連エントリー:

This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Others, like quotes and images belong to its original authors.