八日目の蝉
評判だったので「八日目の蝉」を観賞してきました。原作は直木賞を受賞した角田光代さん。誘拐犯の女性と誘拐された少女との逃亡劇とその後の2人の運命を描いたヒューマンサスペンスです。原作も予告編も見ていなかったのでほぼ、予備知識無しの状態でしたが人間の葛藤がとてもリアルに描かれていて感動しました。おススメです。
「私が欲しいのは、だから未来だと私は言った。私が産んだ子どもとともにいられる未来。誰にも奪われることのない、未来、欲しいのはそれだけだ。」
永作博美さん演じる誘拐犯が漂わせる嫉妬や狂気が生々しく、それでいて私的にも「愛おしい」という感情が上映中に芽生え、好感が持てました。「大人のエゴに翻弄される子供」というコンセプトにも共感を覚えます。更に、誘拐した娘との日常生活や、表情を丁寧にスケッチするようなタッチでストーリーが描かれているため、説得力が増しています。
「逃げたい」と思い逃げてた現実には、実は自分が求めていた「何か」があって、憎んでいた事実に自分が重なり、受け入れる事が出来て、どんな過去でもそれが今の自分を作り出していて未来へと繋がっていく。力強いメッセージと共に、中島美嘉さんの「Dear」が更に心を揺さぶります。