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創造はシステムである−「失敗学」から「創造学」へ

創造するプロセスをシステム化・マニュアル化するという意欲的な試みに惹かれて、『創造はシステムである−「失敗学」から「創造学」へ』を読んでみました。

創造はシステムである 「失敗学」から「創造学」へ (角川oneテーマ21)
創造はシステムである 「失敗学」から「創造学」へ (角川oneテーマ21)
おすすめ平均
stars「創造」のマニュアル化の試み
stars創造を履き違えてる。
stars普段から思考することが大切
stars文章を直せば、面白いと思う
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著者である中尾氏が定義している「創造」からまずは探ってみます。

「創造」というと、天地創造のように、神様の仕事に聞こえる。しかし、何も身構えるほどの大仕事ばかりを意味するのではない。創造を、設計、企画、戦略、立案とかの言葉に言い換えても同じである。創造の対象は、天才がやるような大仕事とは限らない。用は、自分にとって目新しいことを、自分の力でやりとげればいいのである。 - pp14

創造に対する偏見や抵抗感から救われるような宣言です。創造は私たちにとって実はとても身近な考え方であり、「何かやりたい」と思ったときには既に創造が始まっています。創造は「思いを言葉に、言葉を形に、形をモノに」の思考過程が繰り返されて生まれる産物である。という仮説のもと、著者は以下のようなプロセスで検証されていました。


  1. 定量的な目標を設定する

  2. 設計解が得られるパターン化された思考方法で考える

  3. 要求機能を整理し、独立で最小な要求機能を設定する

正に創造のデザインパターンです。本書では、ワンパターンの思考手順に従って目的から手段を抽出する「思考演算」や要求機能から設計解を算出する「設計方程式」などの工学的なロジックが挙げられていましたが、仮説と立証を繰り返すからこそ新しい創造的な技術が作られるのだと気づかされました。

適切なプロセスによって思考の整理を進めていければ、誰にだって創造が可能であることを、より身近に感じさせてくれる一冊です。

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