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LEAN UX Japan Conference 2015〜LEAN UXが拓く未来〜

書籍「Lean UXーリーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」を基点に LEAN UX を実践・普及させることを目的とした有志による団体 Lean UX Circle の活動開始から約半年が経過しました。

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活動中はファシリテーター制度を導入し、参画している企業担当者が自身でミートアップを企画し、イベントを開催する取り組みを月に1回の頻度で開催してきました。また、2014年冬からはワーキンググループ形式で複数の企業担当者を集めたコラボレーションを主体としたツールや方法論の制作・開発などを行ってきました。

そして2015年4月11日ではその集大成となる Lean UX Circle 主催の国内カンファレンスLEAN UX Japan Conference 2015〜LEAN UXが拓く未来〜を開催します。

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日程:4月11日(土)
時間:13:30〜19:00(懇親会:19:00〜21:00)
会場:リクルート アカデミーホール
申し込み・プログラム:公式サイトをご覧ください

書籍「Lean UXーリーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」が刊行されてから1年以上が経過し、当ブログでも以前ご紹介したように様々な企業による取り組みがなされてきました。

本カンファレンスではこの1年間の各社による取り組み例をご紹介すると共に、組織への導入にあたっての課題解決に向けたヒント、並びに LEAN UX を取り囲むように誕生した、グロースハックやデザインスプリントのコンセプトをご紹介しながら、改めてLEAN UX の思想とその価値を参加者のみなさんと一緒に再発見・拡大していきたいと考えています。

400名以上の方が参加された昨年の LEAN UX 刊行記念セミナーとは異なり、今年は LEAN UX のオントロジーに主軸を置いたプレゼンテーションないしはディスカッションを主体としています。

開催背景と想い

LEAN UX はやり方ではなく、あり方です。手前味噌ですが、書籍が刊行されてから多くの企業様にお声がけいただき、ワークショップやプレゼンテーション、パイロット・プロジェクトをご一緒させていただいたと共に、様々なイベントで参加者の方々と意見交換をさせていただきました。

実に多かった意見として、

  • 構想に時間が要され、開発や実装との連動が難しく優先度が下がってしまう
  • 効果が見えにくい 

などがありました。 

LEAN UX は、他で言及されているようなデザインスプリントなどの手法とは異なり、マインドセットやコンセプトであると考えています。

それは、エンドユーザーにとって正しいプロダクトやサービスをつくることを念頭に置いた、組織における共創の文化を再確認・浸透させるための考え方であり、本来の組織としてあるべき姿を提示してくれる指針でもあります。

Lean Startup のルーツであるリーン生産方式は、無駄を省くことを徹底していましたが、誰にとっての無駄なのかを取り違えてしまうとスピードのみが重視され、かつ短期における結果を求める姿勢が強まってしまうことが背景としてあります。この「誰にとっての無駄なのか」を正すためにユーザー視点を取り入れた LEAN UX の思想が必要だと考えています。 

そのため、短期間で効果を期待するものではありあせんし、一度の実践では本質な価値が見出だせない可能性があります。

だからこそ LEAN UX の思想や価値を再確認し、再び探求していく必要性があるのではないかと考え、Lean UX Circle として本カンファレンスを開催する運びとなりました。

継続する努力

パレートの法則ではありませんが、Bloomberg の調査によると新規事業やスタートアップが18ヶ月で成功する確率は20%と言われています。ポイントは、18ヶ月という調査ながらも設けた期間が1年以上であることと、20%という数字です。

一時的な結果として捉えた場合に、20%という数値は低いですが、成功する確率を高める方法は継続だと考えます。もちろん、そのためにはプロダクトやサービスに込められた想いが大切であり、かつ継続するためのエンジンとなる軸を設ける必要があります。

答え合わせをするために無暗に回答を続けるのではなく、正しい答えを導きやすくするための仮説の設定と間違った理由を探るための視点を養うことができれば、数少ない回答で正解することができます。LEAN UX で度々ご紹介している CPS仮説検証モデルが、それに値します。 

話を少し戻すと、成功する確率を高めるためには一定の継続が求められます。ミドリムシビジネスで成功を収めているユーグレナ社長の出雲 充氏が提唱する実にシンプルな理論に納得が行きます。

例えば、「1回目の挑戦での成功確率が1パーセント」という状況があったとします。つまり99%は失敗する状況です。ではその状況であきらめずに2回挑戦した時の確率はどうなるか。2回とも失敗する確率は99%×99%=98.01%です。つまり、成功確率は約2%(1.99%)となり、1%成功確率が上がります。3回、4回、5回と続ければ4.9%。100回やれば63%。そして、459回やれば、最初と数字が逆になります。「一度やってうまくいく可能性が1%の出来事は459回繰り返せば、失敗する可能性が1%」になるんです。

失敗率99%のミドリムシ事業を成功させた男の"シンプルな法則" | Biz/Zine

 

失敗する確率が20%であろうと1%であろうと、数値のみで姿勢を変えるのではなく、継続して成功する確率を上げる努力と継続を支援するために LEAN UX があります。本カンファレンスでは大企業からスタートアップまで組織の規模や役職を問わず、LEAN UX の継続的な実践と実現をテーマとした様々な方のプレゼンテーションやディスカッションを行います。 

最後に

LEAN UX では構想のイメージが先行してしまいますが、書籍でも言及されているようにスタッガードスプリントの代替ソリューションとなるようなスプリントをはじめとする、構想から実現までを捉えた組織としての取り組み全体を視野に入れており、正しくモノをつくるためではなく、正しいモノをつくるための組織文化の醸成が価値に値します。

前後の工程を通じて同じ仕組みやプロセスを導入していないことを問題視するのではなく、同じ思想(想い)を用いてプロダクトやサービス開発に取り組めているかを考えるべきです。

結果として手法やプロセスも、以前ブログでもご紹介した人間中心設計の共通言語化に通じますが、組織ごとに異なるはずです。昨今話題のデザインスプリントも、Google Ventures が自身の組織ないしは自身がパートナーとして参画している組織形態に最適化するように設計されているがために、そのまま仕組みとして己の組織に導入することは創造性に欠けています。

このようなプロセスや手法の登場に伴い、組織への導入が騒がれると導入後の評価はプロダクトやサービスではなくプロセスや手法を軸に判断されてしまう恐れがあり、ユーザー視点が欠けてしまいます。

仕組み化は組織の状況にあわせて行われるべきだと考えます。そのような事態から打開すべく、本カンファレンスでは LEAN UX という思想をご紹介しながらものづくりや組織におけるやり方ではなく、本来のあり方を模索できればと考えています。

ぜひ、ご参加ください。

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