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UXploration

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Culture Mapping(カルチャー・マッピング)のススメ

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Culture Map(カルチャー・マップ)というツールがあります。

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((c) Some rights reserved by Michelle Gray)

Culture Mapping(カルチャー・マッピング)とは?

これは、アメリカのデザイン・コンサルタント Dave Gray 氏の代表的な取り組みで Adaptive Path が主宰する昨年の「Service Experience Conferece」でもキーノートスピーカーを務めました。彼の著書「The Connected Company」では組織内サイロ(縦割り)からの脱却を目的とした組織文化の統合(Connected)を謳っています。組織文化の統合を推進するための活動として彼が提唱したのが「Culture Mapping(カルチャー・マッピング」です。

The Connected Company

The Connected Company

 

カルチャー・マッピングは Dave 氏自身の経験から生まれました。買収等に伴う組織文化の統合を迫られた彼は Transformation(トランスフォメーション:適応)の一環として目指すべき組織文化のマッピング作業から始めました。全ての会議室の壁に張り出し、従業員の評価基準にも採用し徹底させた結果、文字通りトランスフォームさせることができたそうです。やがては体系化され、Culture Map(カルチャー・マップ)としてテンプレート(PDF)が公開されました。

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カルチャー・マップは各ステークホルダーの役割や体制を軸として関係図を可視化するツールです。定められている項目は下記の通り:

Evidence(証拠):どのような行動をしているか?

  • どのように業務に取り組んでいるか?
  • どのような言語を採用しているか?
  • どのように協業し、創造し、管理しているか?
  • どのような空間で行われているか?

Levers(手段):行動を規定するルールはどのようなものか?

  • 何がどのようにコントロールされているか?
  • どのような意思決定がなされているか?
  • どのようにリソース(人的資源など)を配分しているか?
  • どのように賞賛されているか?
  • 意図的なルールはどのように生まれているか?

Values(価値):定義されている価値と実践されている価値は?

  • みんなが口を揃えて言う定義されている価値とはなにか?
  • 公式な文書やステートメントとしてどのようにまとめられているか?
  • 上記の証拠や手段によって影響を受ける因子とは?
  • 個々の実践によってどのような価値を提供しているか?

Assumptions(仮説):想定される仮説は?

  • 社会に対する提言はどのようなものか?
  • 社会に対する姿勢はどのようなものか?

バージョンがまだ浅いということもあり、LinkedIn に専用のグループを構築し、コミュニティ内で実践や検証を続けているそうです。早速、ぼくも参加しています。

この項目は非常に合理的だと考えます。サービスデザインや LeanUX など、組織文化のデザインに関わる活動には妨げとなる様々な脅威があります。

  • 権威・権力機構
  • 予算構成
  • インセンティブ
  • 運用管理・保守
  • 職種や職域

一部に過ぎませんが、Dave氏のカルチャー・マップに定められている項目はここに挙げた脅威のディテールや事実を定義するものとして活用できるのではないかと考えています。

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((c) iStockphoto LP. All rights reserved.)

組織文化をデザインする、というテーマで今年3月に開催した LeanUX の刊行記念セミナーのパネルディスカッションでは組織文化をデザインする必要性とその実践について議論をしました。

文化は魚に例えると水のような存在であり、文化をデザインするということはひとつの群れでどのように一緒に泳いでいくべきかを考えることだと思います。群れの中でどのように協業し、どのようにリスクを回避すべきか、などです。スタートアップなど新たに組織を構築するフェーズにおいては比較的取り組みやすい環境かもしれませんが、組織規模が比較的大きい場合には前述した脅威によって滞りがちです。

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((c) sgs_1019 via Compfight cc)

変化が求められているのであれば、先ずは文化のダイナミクスについて理解を示すべきです。組織文化を始めとする組織改革を大体的に進めている企業である米Yahoo!の取り組みを当ブログでもご紹介しましたが、日本でも少しづつではありますが、組織文化のデザインに力を注いでいる企業が注目されはじめています。

Zappos の Culture Canvas(カルチャー・キャンバス)

その徹底したサービス精神が組織文化として根付いていることに驚異を感じ、Amazon に買収されたオンライン靴販売サイトを運営しているアメリカの Zappos(ザッポス)も同様のアプローチで組織文化の醸成に取り組んでいます。

正に社会に対する提言として掲げている彼らのスローガン "Delivering Happiness(幸せを届ける)" を体現するためのツールとしてザッポスは「Culture Canvas(カルチャー・カンバス)」を採用しています。

 

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Business Model Canvas(ビジネス・モデル・キャンバス)に影響を受け、改良を加えたカルチャー・キャンバスはビジネス・モデル・キャンバスの主要項目を組織内に定着させていくためのファシリテーションを目的としているようです。

細かい解説は割愛しますが、カルチャー・キャンバスは下記の項目で構成されています。

  • Purpose & Impact(目的とその影響)
  • Stories & Metrics(価値を図るストーリーとその指標)
  • Values(個々人の、そして組織の価値)
  • Actions(価値を体現する行動)
  • Value Propositions(顧客に対する提供価値)
  • Customer Segments(顧客セグメント)

ピラミッド型故に上位概念ほど変動せず、断固たるステートメントとして組織内に定着させていくようです。

まとめ

今回は

  • Culture Map(カルチャー・マップ)
  • Culture Canvas(カルチャー・キャンバス)

の2つのツールをご紹介しました。組織文化、前述ではヒトが泳ぐ水のような存在と例えましたが、水を取り替える(=組織文化を見直す)ことはリスクが伴い容易に実行できることではありません。現象を捉え、無形のデザインを推進する上では今回ご紹介した活動のような情報整理と理論構築の観点から見直されるべきだと思います。

その背景には、再掲しますが組織織文化をデザインする、というテーマで今年3月に開催した LeanUX の刊行記念セミナーのパネルディスカッションで議論した内容が発端となっています。

LeanUX の第一人者である Janice氏も今年の2月に開催された Lean Startup マスターワークショップのパネルディスカッションにて、組織文化をトランスフォメーションさせる方法は時の場合によりますが大きく別けて2つあると話しています。

ひとつは Politics(政治)の見直しです。ある程度の権力を保持し意思決定をも左右できる中間管理職以上の役職の入れ替えです。米 Yahoo! CEO のマリッサ・メイヤー氏が好例です。もうひとつは Practice(実践)です。プロジェクトや複数部署ないしはチームの関与によって成立しているのであれば、先ずは身内で率先して実践し、取り組みそのものが細胞の如く関係する部署に伝染していくような状態をつくりあげることです。やがては組織全体をも左右する活動へと発展させることで、自然と新たな文化へのトランスフォーメーションを促します。

後者の事例は国内における代表的な LeanUX 実践コミュニティとして近々発足し、取り組んでいく予定ですので乞うご期待ください。

"The stronger the culture, the less corporate process a company needs. When the culture is strong, you can trust everyone to do the right thing. People can be independent and autonomous. They can be entrepreneurial." - Don’t Fuck Up the Culture — Medium

(文化が組織に深く根付いていればいるほど、組織はプロセス依存ではなくなります。根が深ければ深いほど社内の信頼は構築されていき、自主的かつ独立した取り組みが個人レベルによって行われるようになります。)

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