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「医学と芸術:生命と愛の未来を探る 〜ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト」展

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「人間について知りたい」という欲求が「本質的な問いである」と気づいたのは大学生のときでした。人間を知ることは、自分を知ることに繋がる。そう確信し、行き着いたのは脳科学や遺伝子工学の分野で、当時の専門とはかけ離れていたものの、独学で V.S.Ramachandran さんや茂木 健一郎さんの脳科学本を漁って日夜勉強していました。

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そのときの記憶を呼び戻してくれたのが、森美術館で現在開催されている「医学と芸術展」でした。

人間の身体は我々にとって、もっとも身近でまたもっとも未知の世界です。人間は太古の時代からその身体のメカニズムを探求し、死を克服するためのさまざまな医療技術を開発してきました。また一方で、みずからの姿を、理想の美を表現する場の一つと位置づけ、美しい身体を描くことを続けてきました。

本展は3部構成となっており、第1部の「身体の発見」では芸術とは科学知識に基づく創造的行為であると位置づけたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品が展示されていました。身体の内部を知ることは、世界または宇宙を知ることに等しい。これまで、人間がどのように身体のメカニズムとその内部に広がる世界を発見してきたのか、その軌跡を辿ることが出来ます。

東洋医学と西洋医学における人間の身体と宇宙との関係性が異なっていることが伺える作品ばかりでしたが、創造力を働かせ、工場や家の構造をモチーフにした模型や解剖図は芸術的なエッセンスで溢れていました。(少々グロテスクでしたが)

そして最も印象的だったのは第2部の「病と死との戦い」でした。主に人体の解明にあたる「解剖」が実施されはじめた頃の作品が多かったのですが、当初は解剖は社会的な催しものとして、エンターテイメント的な要素と宗教的な要素を併せ持っていたことは新たな発見でした。

中世ヨーロッパで誕生した「メメントモリ(死を想え)」は、ヨーロッパでは長く美術の主題とされていたようで、メメントモリを暗示する医療器具には芸術的な作品が多く誕生していました。残酷な作品も中には含まれていましたが、本展の目的そのものも、ある種のメメントモリだと捉えざるを得ません。

前述しましたが、多少グロテスクではあったものの、会場には老若男女問わず、多くの来場者が詰め掛けていました。これは、人間を取り囲む人体の不思議や誕生、病と死への関心の表れだと思いました。未だかつて解明されていない人間の身体の奥深さが、知りたいという欲求をより一層掻き立てているようです。人間は、自分自身なのに。

「医学と芸術:生命と愛の未来を探る 〜ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト」展
会場: 森美術館
スケジュール: 2009年11月28日 〜 2010年02月28日
住所: 〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
電話: 03-5777-8600

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