UXploration

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エンタープライズ情報アーキテクチャ

EIA(エンタープライズ情報アーキテクチャ)とは「企業・組織(エンタープライズ)の全体俯瞰によるウェブの最適化を行うIA(情報アーキテクチャ)」です。

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個々のサイトの情報設計ではなく、企業や組織が保有するウェブサイトや CMS、イントラネットなどを含めたシステムをまとめた全体像を取り扱うことが特徴です。

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((c) EIA as Brand Strategy)

また、企業や組織全体のウェブに関わる業務や情報資産を俯瞰することで、個別部署ごとではなく、企業全体の「全体最適化」を行うことを目的としています。EIA が取り扱う問題は、主にウェブにおけるガバナンスや企業・組織が保有する情報資産の有効活用(共通情報の共有、効率的運用方針の策定、重複投資排除によるコスト削減)です。

EIA と「伝わるしくみ」

ぼくが所属するコンセントは「伝わるしくみ」をデザインする会社です。

最も重要なのは「伝わること」。
その単純で絶対的な目的のためには、同じく単純な3つのステップが必要です。

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伝わるしくみとは:伝える手法の探求から、伝わるためのしくみの共有へ | ラボ | 株式会社コンセント

コンセントが考える EIA は、企業や組織が保有する情報資産を如何にしてユーザーに届けるか/伝えるか、正にその橋渡しとなる「しくみ」を設計・構築します。

この場合のユーザーは「エンドユーザー」のみならず、「社内ユーザー」も含まれます。ウェブサイトを運用する企業や組織内のコミュニケーションにおいて部門ごとのサイトが整っていなければ、統一したブランドイメージを保つことはできません。加えて部署ごとのサイトの回遊がコントロールされていなければブランドへの信頼が下がってしまいます。そのためには社内ユーザー間のコミュニケーションデザインも視野に含めなければなりません。

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((c) 伝わるしくみとは:伝える手法の探求から、伝わるためのしくみの共有へ)

社内そして社外における「伝わるしくみ」を考え、共有することで全体最適化の推進によってブランド価値が向上するだけではなく重複投資が回避され、新たな機会創出へと繋がります。また、同時にエンドユーザーのストレスが軽減され、情報取得の効率が向上することで優れたユーザーエクスペリエンスを実現することができます。EIA は、情報に関わるすべての人々の「伝わるしくみ」を考えていくための方法論なのです。

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(EIA は情報に関わるすべての人々の「伝わるしくみ」を考えていくための方法論)

まとめ

当ブログの過去の記事でも言及しましたが、実行性の高いプランニングと実行にうつすための企業や組織内での立ち振る舞い方。このふたつがなされない限り、サービスデザインをはじめとする当初の構想は絵に描いた餅に終始してしまいます。

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EIA はサービスそのものを構造的に捉え、抽象度の高い戦略または構想を情報アーキテクチャの観点からサービスのモデル化を推進することで、ウェブのみならずサービスそのものに具体性を与えることが可能になります。

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コンセントではどのように EIA プロジェクトを推進しているのか。詳しくはコンセントの広報用ウェブマガジン「サストコ」の EIA 特集をご覧ください。

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関連記事:

Design dot BEENOS 始動

BEENOS という「Startup Studio」をテーマにした、日本をはじめ、北米・インド・トルコなど7カ国80社以上に投資し、ウェブにおけるエンジニアリング・デザイン・マーケティング・マネジメント・データ解析に関する支援や育成プログラムを実施している会社のデザインチームと共同で、新企画をはじめました。

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その名もDesign dot BEENOSです。主催者のひとりである山本 郁也氏は言います。

特にスタートアップ業界に至ってはデザイナーの人口が少なく、加えて肩身の狭い思いをし、本来であればビジネスと密接に関わるが故にデザイナーとしての価値の発揮に最も適している環境にも関わらず、多くの悩みや課題を抱えているのではないかと思うことがあります。

海を渡れば、そこは歴史上で最も多くのデザイナー達が意味あるインパクトを生むためにスタートアップへと転身し、EtsyPinterestSquareAirbnb といった今話題のスタートアップの創業者ないしは共同創業者として活躍しています。

彼らのように、デザイナーはセルフプロデュース力が高く存在感を示せるものの、特に日本においては社会的にまだ本当の価値が見出されていないのではないでしょうか?日本のデザイナーは世界的にみてもレベルは決して劣っていないのですが、業務範囲が制限されることでその可能性が引き出せずにいます。

結果としてデザイナーとしての労働対価に見合わない仕事のみを担当するようになってしまい、デザイナーないしはデザインそのものの存在感が薄れてしまいます。

デザインコミュニティの形成と、その先の未来をより良くしたいという BEENOS のビジョンに共感し、主催者のひとりとして定期的にウェブ業界に身を置くデザイナーの方をゲストとしてお招きし、デザイナーの存在意義やその価値について再確認する場(イベント)を開催していく予定です。やがてはウェブ業界に留まらず、様々なひとの「Design dot (You)」を引き出せればと考えています。

関連記事:

「UX Japan Forum 2014」を開催します

全国各地の UX コミュニティーが集結する真夏の HCD/UXD イベントUX Japan Forum 2014が7月20日(日)に開催されます。

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モノやサービス、情報が溢れかえっている時代において、あらゆる業種や業界で HCD/UXD の重要性が語られています。個人の経験や一企業の取り組みだけでは、なかなか知見を積み重ねることは難しく、HCD/UXD を社内ないしは社会で推進する上で様々な課題に直面することが多々あります。

同じような取り組みが実際多くの企業または人たちの間で行われていると思います。ただし問題は、似たようなことが行われていたとしても必ずしも体系的ではないために途中で挫折してしまったり、実践者の我流で行われていたために、他の人には理解できずに社内で広がらなくなっていたと思います。

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UX Japan Forum 2014 では、そんな現在の日本国内における HCD/UXD のこれまでとこれからについて、暗黙知を形式知化にして共有化を進めるために参加者のみなさんと語り、追求していきたいと、日本の各地で HCD/UXD を学び、推進している有志が集まり企画しました。第1回となる今回は、「栄 UX」が運営主体となり、愛知県は名古屋市で開催されます。

ぼくもその内の1人として、東京を中心に活動しているインターネット・メディア企業でユーザエクスペリエンス設計業務を担当する人が集うコミュニティーShibuya UX、そして次代のより良いデジタルインフラ構築に貢献する知のネットワークを構築し活性化することをミッションに掲げ、活動しているUX Tokyoの主宰者として関わらせていただいています。

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当日には「ユーザエクスペリエンス・デザインの破壊と再生」と題したセッションを担当します。同じく UX Tokyo の山本 郁也氏と共に Web 業界における HCD/UXD の既成概念を打ち破り、本当のユーザエクスペリエンスを考える場合に今後求められるであろう視点やスキル、マインドセットについてサービスデザイン事例を基に参加者のみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

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ほかにも HCD-Net 理事/千葉工大の山崎教授をお招きし、「UX思考」をテーマとした話題提供をいただきます。イベント当日では全国各地から集まる UX コミュニティーの代表者や参加者のみなさんとの交流を通じて日本全土における HCD/UXD への共通理解を構築していければと考えています。

日時:2014年7月20日(日)
会場:トライデントコンピュータ専門学校(愛知県名古屋市)
参加枠:100名
参加費:3,000円(当日支払い)
主催:UX Japan Forum 2014 運営委員会
後援:NPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)
協賛:株式会社アクアリング学校法人 河合塾学園 トライデントコンピュータ専門学校株式会社イークリエイト

ぜひ、奮ってご参加ください。

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